医療費が高額になりそうな時の健康保険の使い方

    病気や怪我の中でも、慢性的なものや手術を要するものは、医療費が高額になることがあります。お金が気になって治療を続けるのか悩むこともあるかもしれません。そこで、高額になりそうな時の健康保険の制度についてお話しします。

    健康保険の基本原則

    健康保険制度を使って病院を受診したり、薬局からお薬をもらった場合は、原則として、医療費総額の3割(一部の方は1〜2割)を窓口に支払えば良いことになっています。

    では残りの7割はどうなるの?ということですが、これは医療施設が都道府県ごとの「支払基金」というところに請求することで、その請求が正常なものであると判断されれば、1〜2ヶ月後に受け取れることになっています。

    つまり、患者側からすればいろいろ検査をしたりして、仮に総額10,000円かかっていたとしても、3,000円の自己負担で済むわけです。

    その恩恵を受けるために、私たちは健康保険の被保険者という形で、毎月保険料を払っています。

    健康保険料は毎年上昇傾向にあり、家計負担が増えてはいますが、日本の制度はそれでも極めて「安心」な制度です。

    米国は原則として健康保険は民間の保険を自分で選んで加入しなければならないので、治療を受ける際になって高額なお金を払わなければならなくなる人も沢山いるわけです。

    医療費が高額になった時

    このように非常に優れた日本の健康保険制度ですが、それでも先進医療や単価の高いお薬を使う、あるいは長期入院などがあると、自己負担額が大きくなることがあります。

    例えば、慢性疾患等で毎日病院にかかって、ひと月で10万円窓口に支払ったとします。

    もしこの負担がずっと続くと思うと、気が遠くなりそうです。

    実は、結論から言うと、この月の負担は57,600円まで軽減されます。(※毎月のお給料が概ね27万円未満で、70歳未満の場合)

    それが健康保険の高額療養費制度です。

    年齢や世帯収入によって軽減幅は個別に変わってきますが、今回は言及を避けさせていただきます。

    ただ、10万円を超えるような自己負担が生じた場合は、高額療養費制度が使える可能性があると言うことをまずは頭に入れておきましょう。

    ちなみに、自己負担額が10万円を超えた場合は、確定申告による医療費控除の対象にもなりますので、該当する場合は合わせて還付を受けましょう。

    制度の適用を受けるには

    後から自己負担額の一部を払い戻す形もありますが、

    健康保険限度額適用認定証」の交付を受けることで、窓口負担そのものを最初から減らすことができます。

    この認定証を交付してもらう方法ですが、大きく3パターンに分かれます。

    • 市町村の国民健康保険:市町村の担当部署にご自身で申請します。
    • 中小企業を中心とした健康保険協会(協会けんぽ):管掌する都道府県の協会けんぽにご自身で申請します。
    • 大企業などの健康保険組合:その企業の健康保険組合の担当者に申し出て、手続きを代行してもらいます。

    確定申告による高額医療費の所得控除など、これ以外にも様々な自己負担軽減制度があります。

    所得税や住民税の控除制度もある

    今日のテーマからややそれますが、税制面でも負担軽減制度があります。自己負担額が年間100,000円(または年間収入額の5%)を超えると、医療費控除の対象となります。超過額に対し、所得税が5〜45%、住民税が10%の税金が削減できます。

    これは、健康保険の高額医療費制度と両立するので、自己負担限度額の適用を受ける人はこちらの確定申告も忘れないようにしましょう。

    病気や怪我を治すことは何よりも優先です。自己負担のことはあまり考えずに、必要な時は医療機関に迷わずかかりましょう。

    関連記事

    運営者

    運営者プロフィール

    日本FP協会AFP、キャリアコンサルタント、認定心理士。

    最初に買った株は大暴落の憂き目に遭い、学生時代の数年のバイトで貯めた資金を3日で半減。そこから市場研究と実践を重ね、リーマンショックなどの不況も乗り越え投資歴20年以上。

    個人事業主のビジネスにも詳しく、近年はスモールビジネスに興味ある人に向けてコミュニティを運営中。

    TOP